営業はきついとよく聞く。Googleで営業と打つだけでサジェストに「きつい」が上位表示される事が何よりの証明だ。
僕もかつては同じように「営業 きつい」で検索していた。
その頃は本当にきつくて、しんどかった。この記事に辿り着いたあなたも、おそらく営業がきつくてしんどいのだと思う。もしくは就活生で営業はきついと聞いて不安になり、検索して辿り着いたのかもしれない。
営業のキツさは会社のせい
結論から言う。営業がきついのは会社のせいである。決して労働者のせいではない。きつい種類の営業をやらされているから、きついのである。
例えば音ゲーやアクションゲームで難易度を選択して、遊ぶと思う。会社の営業職も同じで、EASYなところもあるしHARDなところもある。ブラック企業VERY HARDというだけのことだ。だから営業マン個人の堕落というパターンは意外と少ない。ちなみに僕はきつい営業を経験した後に転職し、ラクな営業をしている。業界、会社、商材が変わればこんなにも変わるのかと感動した。
原因① 儲かってない
営業活動をきつくする原因がいくつかある。この原因を知り、選考を受けるべき業界・企業を絞る。そうでないと、入ってから後悔する事になる。また既にブラック営業にある人には、これを参考に転職先を選定してほしい。
営業がキツい原因その1。
シンプルに儲かってない。
儲かっていないから、そのシワよせが営業マンにきて、キツくなる。儲かっていない会社には原因がある。
- 原価が高い
- 高く売れない
- コモディティ化している
(コモディティ=代わりがいくらでもある製品・サービス)
典型的なのは薄利多売型の商売だ。商品がコモディティ化していて競合が多い。値引きが激しく、儲からない。このパターンは客に選択権がある。客から「あっそう、じゃ他から買うわ」と言われてしまうような商品だ。そして営業マンがコントロールできることは、ほぼない。
- 原価を決める仕入れ元
- 販売価格
- 商品ラインナップ
上記で営業マン個人の努力で変えられるものは、ない。
儲かっていないのは、
- 原料の仕入れ元
- 加工方法
- 粗利率
- 営業ターゲットの選定
など経営側に原因がある事がほとんどだ。僕が営業がきついのは会社のせいだと断言する理由はこれだ。営業マンはその条件下で営業活動を代行しているにすぎない。そして儲かっていない会社は、儲けるために営業マンを叩く。
「なぜノルマ達成できないのか」とか
「達成するまで帰るな」とか、
典型的なブラックな扱いを受ける営業マンとなる。このご時世、ブラックは淘汰されつつあるが、営業職においてはブラック臭は消えないだろう。その原因は、ひたすらに儲かっていないから。儲かっていない会社には入社しないこと。
原因② 営業の頑張りに比例
営業活動がキツい原因その2。
成果が営業の頑張りに比例する
営業マンが頑張れば何とかなっちゃうタイプの営業を指す。営業マンが動けば動くほど売り上げが増える系統の仕事で、典型的なのは住宅の営業マンや保険の営業マンだ。BtoC、個人がお客さんの商売に多い。
見込み客はどうやって探せば良いのか?客からの問い合わせ以外でも見つけなくてはならない。この業種では潜在的な顧客を発見し、育てる事が必要だ。BtoCの商売なので多くのお客さん候補がいる。このお客さん候補の状況は、会ってみなければわからない。家族構成、収入、ローン組めるかどうか、勤務地はどこで、どこに買いたいのか。これは営業マンが見つけなければならない。だからきつい。保険も同じくだ。
住宅や保険の営業マンはものすごい努力をしているし、センスや経験も必要だ。インベスターZ(16巻)に出てくる生命保険のオバチャン回は必読だ。このオバチャンはその大変さを楽しんでいるような描写があるが、駆け出しの頃は苦労したに違いない。だが僕が言いたいのは、わざわざこんなトップアスリートみたいな営業につかなくてもよくないか?ということだ。
営業マンが、一軒でも多くの飛び込み訪問をした方が見込みが増える商売は、そりゃ頑張れよ、となる。これは会社の方針以前の問題で、数を打てば成績につながるタイプの仕事も、確かにある。こういう仕事をあえてチョイスしないように。こういう仕事はフルコミッションの場合もあるが、大抵の人は長続きしない。常に全力を出さなくてはいけない仕事など、おいしくない。コスパがよくない。僕はコスパがよく、おいしい仕事をした方が良いと思う。
キツくない営業の条件
ここまで述べた、営業がきつい理由、
- 儲かってない
- 成果が頑張りに比例
この2つの逆を考えてみよう。
- 儲かっている
- 営業マンの頑張りに比例しない
この特徴を持っている会社はきつくないのではないか?
そう、その通りだ。
実際に僕はきつくない営業マンをやっている。まず儲かっている会社というのは、営業マンを叩かない。叩く必要がない。儲かっている会社は、仕入れを安くする方法があり、付加価値の付け方がうまく、ニッチな商品(競合が少ない)で高く売っている。つまり儲かる仕組みを完成させている。売り方も、勝手に安定的に売れるようになっている。
例えば設計書の仕様に組み込んであって、他社の参入ができないとか、特許で守られているとか、製造する設備や方法にノウハウがあって真似できないとかだ。こういう仕組みが整っている会社は、営業マンの力に依存しなくても、勝手に商品が売れる。だから、営業マンを叩く必要がないし、叩いても意味がない。
仕組み、というのをさらに具体的にするならば、僕の経験では、特殊な設備と製法にある。パソコンひとつあればできるような仕事は、誰でも参入できるから競合も増える。逆に特殊なマシーンや特殊な材料を配合する方法を知らないとできない仕事には、簡単に参入できない。儲かっている会社をよく観察してみると、特殊で簡単には真似できない仕組みで商売をしている。
よく就職活動で、会社の強みを調べるかもしれないが、「これはヒトが頑張っているだけだな」というものは、実は強みではない。
例えば
- 「営業マンのサービスが良いから〜」
- 「抜群のチームワークで〜」
とかである。そもそもヒトに依存している時点で安定継続性はない。もしヒトが変わっちゃったらどうなるの?ということだ。
キツいのはやらなくていい
もしあなたが、日々の営業がきついと思ってこのページに辿り着いたなら、
- 自社は儲かっているか
- 営業マンの頑張りに依存してないか
これらを冷静に確認してみてほしい。競合と値段競争でバチバチやりあってる商売は、そもそもやるべきではないのだ。その企業は、キツくてもそれをやらなくてはいけないのだろうが、
それをあなたが、わざわざやる必要性はどこにもない。
儲かっていて、ヒトの力に頼らないスタイルの会社は必ずある。そういう会社を探して営業マンをやっていこう。そんな会社を探すには、自分一人の力では大変だ。求人情報も、企業も莫大な数がいて、その一つ一つを精査していくことは時間的に厳しい。僕は自分の経験から、転職エージェントに相談し、一緒に条件に合う求人を探すことを推奨する。
(2020.3.28追記)本記事の内容をさらに詳しく分析した電子書籍を書いた。ブラックとホワイトを分ける要素とは何なのか?という本だ。この記事でその書籍の詳細と解説をしているので、興味がある人は読んでみて欲しい。ホワイトな営業職は、確かに実在している。
参考記事
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