サボリーマンライフ、開始

知識習得

3年目もいよいよ終盤となり、サボリーマンになるための土台が整ってくる頃だ。ただ、闇雲にサボるのは懲戒解雇のリスクを高めるだけであり、僕が推奨する方法ではない。それは2流、いや3流のサボリーマンだ。1流のサボリーマンになるための心得を説明していく。

前提条件の確認

まず、前提条件の確認を行う。僕はこのサイトで、営業というのは平等な条件・難易度ではなく、そもそもの業界自体の特性や、自社のシェアや知名度に大きく影響されて、営業マン個人ではどうにもならないと説明した。もちろん、商品の性能や仕様、価格も営業マン個人では決定できない。ゆえに業界と会社を選んだ時点から難易度はEASYからHARDまでが自動的に決まる。僕はこのサイトでは

  • 化学業界
  • メーカー
  • 儲かっている

という特性を持つ会社を推奨した。この3要素があるから、これから説明するサボリーマンライフが成り立つ。化学業界は業界規模が大きい割に従事者が少ないので分配が多め。さらに若者が少ないので競争が緩い。メーカーだから、モノ自体が価値を持つので強い。また労働集約型ではない。儲かっている会社は商売がうまい。つまり社長が優秀ということ。儲かっていればブラックになりづらく、離職率も低いのだ。

僕はかつて、建築業界で営業マンをしていた。その職場は

  • 建築業界
  • 営業会社
  • 儲かっていない

という会社だった。建築業界は人が多すぎて賃金不足、労働集約的で人間が頑張れば何とかなっちゃうのでブラック化しやすい。また業界の雰囲気もブラック気味だった。メーカーではなく営業会社だったので商品の改良もできず、メーカーの言い値で買っていた。競合他社も多く、値段の叩き合いで全然儲かっていなかった。そんなブラックだったから離職率は高かったし、数字を上げろ!と職場は常にピリピリしていた。成績グラフとか貼ってあった。

このように、業界選びと入社する会社選びがサボリーマンライフを送るには前提条件として必要になる。

成立条件の確認

前項でサボリーマンになるための前提条件を確認した。「儲かっている化学メーカー」という解だが、これだけでは不足だ。もちろん、十分な下地ではあるのだが、まだ確実ではない。化学メーカーの営業職に就けても、営業部からハズされて内勤にされたりしてしまってはサボリーマンにはなれなくなる。サボリーマンライフを成立させるための条件を確認しよう。

  • マークを外せている
  • 新規開拓実績がある
  • 社内政治を行なっている

まず、マークを外せていること。マークとは、上司や先輩から「コイツ大丈夫かな」と思われている状態のことだ。知識経験や普段の対応に心配なところがあると、上司や先輩は、小さな子供を見守るかのように干渉をしてくる。このような干渉(マーク)がついた状態では迂闊にサボれない。このマークを外すには報連相を儀式だと思って徹底し、会社の方針を遵守し、店番として一人前であることを見せてやる必要がある。それも、1回2回ではなく2年ほどをかけて、自分は問題がない人ですよ、というアピールを地道にしていく。ただこれも、長くて2年なのでそこまでは頑張ろう。ゴールが見えていれば、精神的にもラクになる。また最近ではすぐに退職する人も多く、警戒しているので2年ほどの勤務してすぐにやめないということをわかってもらう必要がある。

そして新規開拓実績を作り、仕事に前向きな姿勢を示す。新規開拓というものは、そもそも前向きでないとチャレンジしないのが化学業界の特性だ。小さな取引先、ユーザーでも良いので3年目までに1件は開拓したい。もしくは開拓の見込みが現実味を帯びるところまで育てておきたい。

こうして「僕は新規開拓をする営業マンですよ」とアピールすることにより、営業部からハズされるリスクが大幅に減る。誰かをハズさなくてはならなくなった時、よほどの問題人物でなければ、ほとんどの営業マンは横一線だ。そこに新規開拓というカラーがつくと、ハズしにくい。新規開拓ができる営業マンは特に化学業界には貴重だからだ。

そして最後、社内政治を行なっていること。とはいえ、そこまでガチな社内政治でもない。飲み会が3回あったら2回は出席する。ゴルフをかじる。旅行に行ったらささやかなお土産(千円くらいの)を配るといった程度で十分だ。そういう社内のお付き合いを「全然やってない」というのが営業からハズされるトリガーになってしまうので、適度な社内政治を行っておくこと。全出席はしなくてもよいが、出席率は高めの方が有利だ。もちろん、飲み会に時間を取られてしまうのであるが、その時間を大きく上回る時間をサボれるのだから、損して得とれ精神で時間を拠出しよう。

こうして、マークを外し、新規開拓を行い、社内政治をしていたら、サボリーマンライフをスタートさせる準備が整ったといえる。これらの条件を満たさずにサボると、最初は良いかもしれないが、ちょっとしたきっかけで営業からハズされてしまってサボれなくなってしまう。

サボりの技術を高める

ここまでで、前提条件と成立条件を満たせた。ここから具体的なサボりのテクニック磨きが始まる。条件を満たしたからといって、いきなりサボりまくれるわけではない。いわば、サボリーマンの1年生になったのだから、サボリーマンの基礎からまた身につけていかなくてはならないのだ。

そんな言い方をしたのだが、中身は簡単だ。「いかに隙を作らないか」これに尽きる。サボリーマンはサボるために、エア・アポイントメントを予定表に書き込む。このエアアポを不審に思われないための技術を磨いていくのが、ここからのステージだ。

先輩や上司から引き継いだ既存顧客は、先輩や上司も内容を熟知しているから、多用は危険だ。「そんなに通う必要ある?」とか「そんなに移動時間かからんだろ」という意見も出てくるし、最悪なのはエアアポの相手が会社に電話をかけてきて行っていないことがバレるパターンだ。お客によっては営業マンの携帯やメールにではなく、会社にいきなり電話かける派もいるので、こういうお客をエアアポに使わない等の配慮と対策が必要だ。しかし既存顧客も使わなければエアアポで埋めつくすことはできないので、人材を選んで適切に配置していこう。

ここで有効なのがやはり新規開拓先だ。自分が開拓した客先は、当然ながら先輩や上司は深くは知らない。担当者もわからない。ゆえにブラックボックス化できる。口出しがしにくい。とはいえ、あまり極端に使うと、「そんなに行くほどの商談あるの?」というツッコミは入るだろう。しかし、そのラインは既存に比べたらだいぶ深い位置にあることは間違いない。新規開拓・売り込みをしている最中という顧客も増やしていく。これは実績にならなくてもよい。新規開拓は10件いって1件当たれば万歳の世界だから、新規顧客候補をたくさん集めるのも技術の一つだ。

そして営業日報がある場合には、重要ポイントとなる。細かい上司は結構見ているので、ここで怪しまれるきっかけになってしまうこともある。これに対してはまず新規顧客だと先述の通りブラックボックスなので守備力が高い。また、1回のリアル打ち合わせや電話で多くの情報を仕入れておき、それを小出しに日報に書いていく方法も実践したい。案件が進捗したら、それを3分割くらいにして3回分の訪問記録にするのだ。仮に商品説明、サンプル提出、概算見積を1回のアポでやれても、3回分にできる。あとは調査依頼とか改良依頼も製品ごとに割っていけば用件を水増しできる。

サボりは実はサボりではない

このように、周りから怪しまれないように新規候補のお客さんに通い、3ヶ月に1回くらいはリアル訪問して、それなりに仕事をしていると、意外とリアルに新規開拓できたりする。それはそうだ。正しい動き方なのだから。

保険の営業マンや自動車の営業マンと違って、化学メーカーの営業マンは「買ってください!」とお願いして売れるようなタイプの営業ではない。お客さんの求めている物性を持つ材料を提案し、テストしてもらって、改良するところは改良して、またテストして、物性合格したら売れる、というのが化学品の営業だ。だから、長期戦になるのは普通なのである。化学の営業とは「待ち」の時間が長い営業職なのだ。営業マンが頑張って売れるタイプの営業ではない。1日10件訪問したら売れるタイプの営業職も世の中にはあるかもしれないが、少なくとも化学は真逆だ。性能試験に数年を要して、忘れた頃に採用になるパターンも珍しくない。

サボリーマンは、この特性を利用することで成り立つ。僕が推奨するサボリーマンというのは「やることちゃんとやっている営業マン」のことなのだ。とても効率が良い営業マンなので、余った時間を自分の時間にしている、とも言える。

だから実は、本質的にはサボっていないのだ。

コメント