本章、『3年目:自分の色を出す:「破」』 においては社内政治を行い、新規開拓を行い、 仕事に熟練してブラックボックスを作って出世の流れを作ることを 目標とした。この目標を達成したら、 とうとうサボリーマンライフを始めることができる。
土台が大事
先述のように、努力をして社内政治や知識習得、 新規開拓を行ってきた。 それだけの土台を作り上げるための3年間は、確かに大変だ。しかしその土台があってこそ、サボリーマンになることができる。 最初からサボリーマンをやっていたら、 歳を取ってから戦力外通告されたりして大ピンチに陥る。 そのため、20代のうちに実務の土台を完成させて欲しい。 この土台が、あなたの財産だ。この強固な土台があるから、 サボリーマンは成立する。
最小限の労力で
前項で、実務の土台が財産だと述べた。これは、 知識経験と実績を積み上げた状態だ。この財産を使うと、 効率よく新たな仕事に対応することができる。1~ 2年目では対応に半日かかっていたことが、 1時間で済むようになるということだ。その差の数時間は、 あなたが使ってよい。サボれる時間が生まれる。
訪問して面談するには移動時間含め数時間を要するが、 熟練するとメールや電話で30分で終わらせることができる。 これは1~ 2年目で客先に訪問し信頼を得ておくという土台があるから成立す る。そして、そのメールや電話での内容を使ってエア訪問予定を組む。日報を書く。
この浮いた時間をさらに新規開拓などの業務に突っ込むこともでき るのだが、基本的にその成果は会社に吸われる。 その吸われる量をコントロールするのがこの段階といえる。 これまでは比較的多めに、会社へ時間を捧げていたのを、 少しずつ自分の取り分に変えていく。最小限の労力でも、 会社へ捧げる成果物はあまり変わらない。 そういう状態を目指そう。僕はこれを「等価交換を目指す」と呼ぶ。
時間を味方に
3年目まで、割とまじめに取り組み、 知識経験を積み上げた状態になると、 勝手に案件が舞い込んでくることが増える。 これまでのあなたの取り組みを見ていて、 お客さんが紹介をくれたり、さらなる案件を振ってくれたりする。
また不思議なことに、突然、 会社に知らないお客さんから反響の電話がかかってきたりする。 そして対応する。化学メーカーの営業というのは、 採用が決定するまでに数年単位で時間がかかる。 これは製品の特性上、仕方のないことであり業界的にも常識だ。 だから、時間がかかることはおかしくはない。 この特性を味方につける。
具体的には、手広く浅く案件を扱い、サンプルを出したり評価待ちをしている客先を多く作 る。それらにローテーションで回る風のスタイルを確立できたら、 エア・アポイントメントも作りやすくなる。
なぜサボリーマンを目指すのか
3年目までガチってきて、なぜサボリーマンを目指すのか。 それは2つの解釈がある。
1つ目は、効率を上げるためだ。 営業を数年やっていると、実は必要な訪問は数回で良いし、 お客さんはこういうポイントを求めてくるんだなとパターンがわか ってくる。実はパターンはそんなに多くない。それに適切に対応すると、無駄が減る。少ない労力で、 成果が出る。これを練磨していくとあなたは一介の営業マンから、 時間の投資効率をジャッジできる経営的な視点を持てるようになる 。脚で稼ぐのではなく、アタマで稼ぐ段階に入るということだ。
2つ目の理由は、どんなにサラリーマンとして努力をしても、 成果の見返りは少ないため、頑張りすぎるのは損だからだ。 ボーナスが増えるじゃないか、 インセンティブがもらえるじゃないか、と言っている人。 考えて欲しい。 あなたが成約した案件は何百万円もの利益を会社にもたらしたので はないか?そのうちの何%が還元されているのか?とても少ないと思う。
雇われ人を保険にする
では、そのように自分のビジネスを作って収入を得るのならば、 最初からサラリーマンなどやらずに起業すれば? と思う人もいるかもしれない。もちろん、 できる人はすればいいと思う。だが、 このサイトにたどり着いたあなたは、 文系MARCH卒の営業マンだ。他にできることがないから、 営業マンをしているのだと思う。もちろん、僕もそうだ。
会社員というのは、現状ではとても守られた存在だ。 特に正社員は解雇が難しい。営業マンをしているなら、 もちろん正社員だと思う。この後ろ盾をもちながら、 自分のビジネスを持つことにより、安定感が増す。
もちろん、 ブラックな環境では自分のビジネスに割く時間と労力はないだろう 。だから僕はまず、 マッタリで儲かっている化学業界への転職を勧めた。 そして熟練し、新規開拓を行うことにより社内の地位を磐石にした上で、 発生した余剰時間を、 会社の為ではなく自分のビジネスにつぎ込もう。 それが僕の主張だ。
こうして、 非常に安定的かつホワイトな化学業界の営業マンという足場をしっ かり構築した上で、余剰時間と労力を確保する。 もし自分のビジネスがうまくいかなかったり、 時間がかかるようなら、サラリーマン仕事に助けてもらえばよい。
時給的な切り口で考えたら、 一日4時間程度の実務で年収500万もらえるならフルタイム1,000 万円の年収に匹敵すると考えることができる。そのように、 自分の時間を割りよく買い取ってくれるのが化学業界の営業職なの だ。
続き:本業はメンテナンス感覚で