本業はメンテナンス感覚で

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知識習得
儲かっている化学メーカーに入社して、1~2年目で知識・経験の基礎固め。そして3年目で新規開拓に着手したならば、仕事は熟練しつつあるといえる。
ここで注意してほしいのは本業に一生懸命になってしまうことだ。真面目な人ほど、陥りやすい。僕もそうだった。いくら一生懸命に取り組んでも、自分の取り分は爆発的には増えない。また、儲かっている化学メーカーの営業は、やればやっただけ成果が上がるタイプの営業でもない。この頃から、体力と気力を温存し、自分の事業に向けていくことを視野に入れよう。
本記事では、儲かっている化学メーカーは既に高い城壁に守られているので、無駄にパトロールをする必要はないことを説明する。

店番が最重要

過去記事の繰り返しになるが、今一度確認しよう。
営業マンが営業マンとして生き残るためには新規開拓が有効だ。しかし、これに傾倒してしまうと「店番」がおろそかになる。儲かっている化学メーカーにおいては「店番」が最重要だ。
かつての僕は、新規開拓こそが正義と考え、日々新規開拓活動にいそしんでいた。しかし、儲かっている化学メーカーにおいては、新規開拓よりも店番が最重要だ現状でうまくいっているからだ。
その儲かっている状態をしっかりと維持して、危うくならないようにしっかり店番をする。それが営業マンに求められている第一目標だ。

新規開拓が必ずしも正義でない

そのため、かつての僕のように貪欲に新規開拓を繰り返す営業マンは、儲かっている化学メーカーという場所においては異端児となってしまう。僕は新規開拓に駆けずり回っていたところ「アイツはいつも外出していて、店番がちゃんとできないのではないか」と思われてしまい、上長からマークと注意を受けた。
「営業マンの本懐は新規開拓だろ!」と反論したかったのだが、その時、儲かっている化学メーカーで求められていることの正体に気付いた。店番である。
店番が最重要というのは、儲かっていない会社には当てはまらない。儲かっていない会社では「ドンドン新規開拓しろ!」が正義だ。僕が最初に入社したブラック企業はこのタイプだった。こういう会社はひたすらに疲れる。

無駄なパトロール

僕は入社したばかりの頃、既存顧客から切られることを恐れていた。そのため、既存顧客もそれぞれ月に1回程度、巡回していた。悪い虫がつかないようにパトロールが必要だと思っていた。アポをとって資材担当や技術担当に会いに行くのだが、その中で気がついた。この月イチのパトロールは無駄だし、お客さんも望んでいないということに…。
もちろん、用事がある場合には訪問しても良い。改良の依頼だとか、不具合の対応だとか、値上げや値下げの交渉などだ。用事があるときは面会して微妙なニュアンスを伝えたり、訪問するという行為で誠意を示す意味もある。しかし、用事なく訪問するのはお客さんの時間を奪うことになり、彼らに残業をさせてしまう原因になる。
真面目な営業マンほどエア・アポイントメントを入れられずに真面目にアポイントを取ってしまう。お客さんも断れば良いのでは、と思うかもしれない。しかし大体はアポイントの打診を受け入れてくれる。なぜなら彼らは仕入先からの「訪問したい」というお願いは断れないからだ。
彼らにとっては「仕入れ」が仕事だから、化学メーカーつまりサプライヤーから見捨てられたらオワリだ。もし「もうオタクには売らないよ」と言われては困るから、彼らは応じる。そして用事もなく行くと、会話は雑談がほとんどになり、仕事的な成果は薄くなる。
もちろん雑談の中で信頼関係が作られてビジネスチャンスになる時もある。だがそれは、社長や取締役などの人との交流のときのみ発生する。いち資材担当者、技術部員程度では極秘情報は得られないことが多い。決裁権者は定期的にパトロールする価値がある対象となるがそれ以外の資材課長レベルではルーティンの仕事しかしておらず、値下げ・値上げや原料の切替の決裁権はないので巡回する価値は低い。そもそも儲かっている化学メーカーの営業、という前提条件で考えると、この巡回の効果はますます低くなる。次で説明しよう。

「部品」は強い

定期的にパトロールしないと、他社にとられてしまわないか?という疑問があるかと思う。もちろん、世の中の多くのメーカー営業は競合と戦っている。なぜ戦わなくてはならないかというとコモディティ化している商品だからだ。類似品・同等品があり、簡単に切替できるから、パトロールしなくてはいけない。浮気を防がなくてはならない。僕が推奨する「儲かっている化学メーカー」は既にそのステップを乗り越えている。乗り越えているから「儲かって」いる。
儲かっていないメーカーは、どこでも作れるようなものを作っている。そうではなく、特殊な製法や設備が必要だとか、特殊な配合で特許があるとか、特殊品を作っているメーカーが強い。それを原料としてお客さんは自社製品を作る。つまり部品だ。
実は多くの場合、化学品は代替が非常に難しい。1つの材料を変えると、最終製品に大きな問題が起きるとか、性能が出ないとか、それを扱うマシンとの相性が悪くなってしまうとかはよくある話で、お客様はそういう事態を最も嫌う。
部品を一つ変えただけで、それまでうまくいっていたものが全てパァになり、クレームの嵐になったりする。色が若干違うとか、質感が違うとか、マシンが壊れやすくなるとか、いろいろある。だから、簡単には切り替えられない。
そのような問題が起きないか、何十回も検証して、修正して、長期保存や耐久性試験もして、それでも問題ないと確定したら切り替える。その「手間」がすさまじい。その手間という城壁があるから、簡単に侵入されない。たった数円コストダウンできるからといって、簡単に切替を行わないのはそのためだ。
僕も、化学業界に関係するまでは、こんなにも切替が大変とは知らなかった。化学メーカーは、「部品」を担っていて、その「部品」を人質のように扱える。特に僕が推奨している「儲かっている化学メーカー」はそれが完成しているから、「儲かって」いるのだ。会社と商材選びの段階で、既にこの問題をクリアしている。

メンテナンス感覚で十分

まとめると、儲かっている化学メーカーの営業職においては既存顧客はメンテナンス感覚で接していれば十分ということになる。通っていれば新規の案件を振ってもらえることもあるが、1~2年目で顔を覚えてもらっているので、必要なときはメールや電話で呼んでもらえる。
もし、大幅な値下げが必要なときにも必ず連絡は来る。ダマで切り替えられるというケースは非常に稀だ。だから、メンテナンス感覚で十分なのだ。