ブラックが労働者を錯覚させる仕組み

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知識習得

ブラックがブラックたる原因は、経営者が労働力を安く買い叩き、利益を最大化させているからだと前回の記事で解説した。

参考:ブラック労働にハマるメカニズム

では、どのようにして労働力を安く買い叩いているのか。この記事に辿り着いたあなたには、その方法を知る事により安く買い叩かれないように抵抗力を持ってほしい。

自責マインドを利用する

真面目で優秀な人ほど、自責マインドを持っている。この習性をブラック経営者は利用して、搾取している事を見破られないようにしてくる。具体的には、労働者の成果を小さく見せる

例えば100万円の売り上げをあげたとする。会社のシステムによれば、原価が80万円と試算された。つまり100−80で、自分のあげた利益は20万円だと労働者は思う。この利益額に目標設定がされている会社が多い。しかし、この80万円の原価が仕組まれていたら…?

本当は50万円しかかかっていないのに、社員には80万円に見せる方法はいくらでもある。実際に僕が働いていたブラック企業では、社内システムでは5万と表示されてる原料が、実は1.5万で買える事を知ってしまってから不信感を強烈に感じた。また他の会社でも、原価照会をするときに役員専用のパスワードがあり、そちらは真の原料費がわかるようになっていた。これは、一般社員にリアル原料費を調べさせてしまうと外に漏れる可能性があるため、と説明されたが、それだけの理由ではない。

さてこの方法で利益を少なく見させられると、社員が「オレ、利益あげられてなくて申し訳ない」と勝手に思い込むのだ。これが自責マインドだ。思い込んだら、勝手に働いてくれる。ハードルを飛び越えようとする選手の両足に1kgの靴を履かせているようなものだ。なんという優れた仕組みなのだろうか。

もしくは目標値が利益ではなく、売り上げになっている場合も怪しい。本来なら年間で2,000万円分売り上げれば十分なのに、1億円を目標とされる場合だ。その売り上げ目標に根拠はあるのだろうか?これはハードルが最初から異様に高い状態で、飛び越えられないのを自責に思わせてくる。

ポイントは自責なので、企業側が強制はしていないと主張できるという点だ。企業側が社員を恫喝したり、行き過ぎたペナルティを与えたら、企業側が罪に問われる可能性がある。しかしこの自責マインドに錯覚している労働者は、自分のせいだと思っているので訴える事はしないし、よりハードな労働とサービス残業を会社に自主的に捧げる。あくまで自主的だから、企業はいくらでも逃げ道が作れる。

 精神的報酬で誤魔化す

アメを使って労働者に気分良く、勝手に働いてもらう方法もある。

  • 大きな営業成績をあげたら
  • お客様アンケートで良い評価をもらったら、

全社朝礼で表彰してクオカード1000円分!とかいうものだ。社内報で褒めたり、写真を飾るとか、である。これは精神的報酬をうまく使っている。人には褒められたいという社会的欲求が本能的に存在する。それをうまくハックされている。こんなショボい報酬で足りるはずはない功績・成果なのに、精神的報酬というカネがかからない方法で労働者を満足させる方法だ。これに気を良くして張り切って、安い賃金で勝手に毎日頑張ってくれる労働者をつくるのが経営者の手腕だ。小売りや接客、事務職などに多い。

うまく誤魔化されて、安い賃金で使い倒されている事に気づける人は、実は少ない。それほどに人間が持つ社会的欲求の力は強いのだ。冷静に考えて欲しいのは、労働者は労働力を提供し、その対価に賃金を貰う。決して褒めてもらうために働いているのではない。

労働に対する対価、そして誠意カネで表すしかない。社内での表彰など、現金との換金性がない仮想通貨みたいなものだ。だから、このようなまやかしの報酬に錯覚せず、自分が提供した労働力に対していくらの対価が支払われたのかに注目すべきだ。

結局、対価はそんなに増えない

ブラックが繰り出してくる賃金を買い叩く手法として2つ紹介した。

  • 自責マインドを利用する
  • 精神的報酬で誤魔化す

これらは支払うべき対価を削減する仕組みであり、経営者側のワザである。こんなに努力して、経営側は対価を減らそうとしている。労働者側が対価を増やしてくれ!と、対価をもぎ取るのはほぼ不可能に近い。できるとしたら、未払いの残業代を請求するくらいだが、これは退職時のみにできる。

ではどうするのか?それは提供する労働力を適正にしてやる事である。つまり、ほどよく手を抜く・サボるということだ。もちろん、目標未達に拠る叱責や注意はあるだろう。部署異動も有り得る。でも日本の労働法は強力だから、よほどの損害をもたらしたとか、違法行為を行ったとかでなければ、解雇はできないのだ。

そもそも要求水準が高すぎたり、達成が困難な企業はブラックであり、長く続ける意味はない。

参考記事:「営業 きつい つらい」の真実

ブラック的搾取をせずとも儲かっている企業に入り、適切な労働力を提供する事。これが僕の推奨する答えだ。

続き:ブラック洗脳を解く 推奨書籍

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