自分の事業、もしくは小商いにチャレンジすると、 雇われサラリーマンでは得られぬ知見が得られる。 サウザーさんの言う「ビジネスモデル」の修得である。
仕入れが命
どんなに良い製品であっても、 仕入れの原価が高すぎたら利益を出すことは難しい。 全く斬新で付加価値の高い製品が作れるなら話は別だが、 既に類似の商品が世の中にある以上、売値はそこから大きくかけ離れることはできない。
例えば、 オリジナルのスマホカバーを作ったとして、せいぜい3, 000円、かなりのこだわり5,000円までではないだろうか。 競合品がある以上、末端の価格は事実上の制限を受ける。
となれば、仕入れをいかに安くするかがポイントになる。また、 特別に安く仕入れることができたら、 競合よりも安く市場に売り出すこともできる。 クオリティが問題なければ、市場を独占できる可能性もある。
サラリーマンをしていると、購買担当でもない限り「仕入れ」 に携わることはない。営業担当であっても、 購買価格を自分で操作できない以上、 やはりあまり気にすることはない。せいぜい、 原価の上昇分を値上げさせてもらえないか、 と顧客にお願いするくらいだ。
しかし仕入れと販売価格を決定し、 側面経費を除いた純粋な利益を把握できる自分の事業においては、 この仕入れが非常に大切なポイントであると身をもって理解するこ とができる。
不動産投資というビジネスにおいても、 いかに安く仕入れられるかで大勢が決まる。 どんなにいい物件でも、 仕入れが高すぎたら利回りは見込めないのだ。
集客が難しい
サラリーマンをしていると、当然だが「会社の看板」 で商売することになる。まったくのベンチャーならともかく、 大体の企業は数十年の実績や、業界での知名度がある。 先輩営業マンの功績もあるだろう。サラリーマンは、 そういう目に見えない、無形の力を借りて営業する。 誰もが知る大手企業ならば、その看板の力はなおさらだ。
この看板の力がないというのは、つまりは「信用」がない。 どこの誰ともわからない人から、高価なものは買わない。 粗悪な品をつかまされるかもしれない、 トラブルがあったときにちゃんと対応してくれるのか、 高額な商品ほど顧客は警戒する。 そういう状況を自ら体験してはじめて「信用」 の大切さを感じるのだ。これはサラリーマンでは味わえない。 たとえ無名の中小企業でも、 存続しているということは既に顧客がいるわけで、 業界ではわずかながら知名度もあるのだから。
また、どこで売るか?というプラットフォームの選定も難しい。 駅前で大声で売るわけにもいかないだろうから、 その多くはネット上での集客となるだろう。しかし、 知名度も実績もない者が宣伝をしても、 そもそも誰も認知しない。認知されていない商品は、 存在しないのと同じだ。
市場は厳しい
自分が全身全霊を費やして作った商品がようやく完成し、 市場に送り出すことができたとしよう。しかし、 それをジャッジする「市場」というのは非常に厳しいものだ。 ハンパなものは売れないし、仮に売れても、クオリティが値段に見合わなければ クレームや低評価の嵐となろう。
それを今度は自分がジャッジされる立場になるのだ。 これはやはり、サラリーマンでは味わえない感覚だ。
自分の上をいく人の存在
商品作りに取り組んでいく中で、 同業他社の存在に気が付く。そのライバルは、 もしかしたらもう何十年もやっている大ベテランかもしれない。 先述のように市場は非常に厳しい。 大ベテランと同じ土俵で比較される。「あなたは駆け出しだから、クオリティ低くても仕方ないよね」とは絶対にならない。
特に専業で長年やっている人は、 生き残っているという事実それ自体が、実績であり信用だ。 市場の試練を乗り越えたから、 今なおプレイヤーとして市場に存在しているのである。
しかし諦めるのは早い。そんな先達がカバーできていない領域や、 もう少しこうなっていたら良いのにな、 と思うポイントはないだろうか。 そこをカバーしてオリジナルの商品を作り、世に問うのだ。 自分が好きなことに特化するからこそ、 マニアックで自分の色が出せるのだ。
世の中の会社ってスゴイ
このように、自分で事業に取り組むと、商品を作ること、 それを売ること、納得してもらいリピートしてもらうこと、 ライバルとの競争がどれほど大変なことなのか、それらを 体験することができる。 繰り返すがこれはサラリーマンをしていては体験できないことだ。
僕はこの視点を持ったことにより、 自分の勤務している化学メーカーが、いかに安く仕入れて、 付加価値を付けて、 競合に勝る製品を作っているかが見えるようになった。 さらに販売網も整備されていて、こりゃ売れるわ、 こりゃ儲かるわ、とあらためて思ったのだ。
世の中の会社を見渡してみる。
どうやって儲けているんだろう?
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