本サイトではいかに営業マンとしての熟練が大切か述べてきた。お客さんが求めているのは実用的で、使える営業マン。経験豊富で、水先案内人となってくれる営業マン、わからないことを相談できる、お医者さんみたいな営業マンをお客さんは求めている。ヒヨっ子の使えない営業マンなんか、お呼びでない。若い営業マンなんて頼りなくてヤだな、絶対買わないわという人もいる。それはもちろん正論だ。
そのため、駆け出しの頃は全く売れず、成果も出せず、したがって知識も経験も積めない。これではいつまでも熟練できないではないかと思う。
僕も若き駆け出しの頃、同じ感想を抱いていた。上達するにはまず仕事もらわないと実務ができないじゃないか、と。いきなり詰みじゃね?と思ったものだ。しかし実際には詰まなかった。それは「新人ボーナスタイム」があったからだ。
漢気のあるお客さん
世の中にはごく少数ではあるが、新人営業マンを助けて、育ててやろうという器の大きい漢気(おとこぎ)あるお客さんが一定数存在する。僕の体感では、全体の5%くらいか。
このようなお客さんは、新人営業マンと自分の若い頃と重ね合わせたりする。また、自分の子供と同じような歳の若者が頑張っていると、先輩心・親心により、手助けをしてくれようとする。年配の人に多い特性だ。こういう人達は、たとえ社外の人間であっても育ててやろうという気概がある。こういう人にまずはチャンスをもらって育ててもらうのが、新人営業マンの初期の商売になる。
ではこういう人はどうやって見つけるのか?それは足を使うしかない。実際に会わないと、相手もこちらを見出してくれることはない。だがこういう人は、会って話せば、こちらの話を聞いてくれたり、見積もりしてみるかと言ってくれたりする。このチャンスに、真摯に一生懸命対応しよう。こういうお客さんは優しい一面もあるが、不真面目なヤツには厳しい一面もある。
「なんだ、せっかくチャンスをやったのに、すぐに見積もりが来ない。コイツはダメだな」と見限られてしまう。スピード命で対応しよう。仮に内容にミスがあっても、その前のめりな姿勢を喜んでくれるはずだ。
僕の体感では、こういうお客さんは5%くらいの割合でしか存在しないので、少ないチャンスをしっかりものにしていくこと。とはいえ、契約が取れるかは別問題なので、経験値を試させていただくという気持ちで、案件に取り組もう。そのケーススタディ・積み重ねが「熟練」へとつながっていく。
新人ボーナスの期限
この新人ボーナスは25〜6歳くらいまで有効だと考えている。明確に決まっているわけではないが、27歳くらいになると、見た目が新人っぽくなくなってしまうからだ。よく言えば垢抜ける。悪く言えば老ける。
若者特有のキラキラ感、肌ツヤ、目の輝き、いわゆる「初々しさ」というものは25〜6歳くらいまでしか出ない。ルックスだけでなく、態度や話し方などに「初々しさ」がなくなってくる。もちろん個人差はある。逆にいうと、この期間はどんなに知識経験があろうとも貫禄がないので信用を得にくいということでもある。
「初々しさ」は先述の「育ててやる」系のお客さんとは相性が良いが「プロを求めてるんだ」系のお客さんには、この新人っぽさは逆効果になる。だがこれは20代後半〜30代初頭で解決できるので問題ない。ステージが変わるということだ。20代中盤を境に、営業マンは戦い方を変えていくのが好ましい。
新人特性を生かし、修行を積む
まとめると、初期は新人ボーナスタイムを活用し、まず経験を積ませてもらうことが大切だ。その期間中に真面目に取り組んで、実務能力を身につける。ミスや失敗もあるだろうが、真摯に対応して、糧にする。2年くらい真面目に取り組めば、ケーススタディによる知識経験と実務能力は十分に身につく。その土台があれば、さらなる案件がやってきたときに、応用してチャレンジすることができる。それがまた、さらなる成長につながる。新人ボーナスタイムは、大切な火種なんだ。
しかしいつまでも新人ボーナスタイムは続かないということも知っておくこと。30歳になって「わかりません」だらけではオワリだ。勉強はしっかりしよう。
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