化学メーカー営業実務録:規制物質対応

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実務録
化学メーカー営業マンはゆるふわであると述べてきたが、具体的にご紹介できていなかった。新シリーズとして実際の実務について、身バレしない程度にご紹介していく。
化学メーカー営業マンの仕事の多くは「店番」と「渉外」である。今回は「店番」について。

店番とは?

店番とは、通常であればお店にいる店員さんを指す。例えば服を売っている店では「これのMサイズありますか?」とか「長袖シャツはどこにありますか」と尋ねる相手である。
化学メーカーの営業マンは、基本的にはこの店番をしている。日々、既存顧客や新規顧客からの「問い合わせ」に対応するのが営業マンの基本任務となる。
その「問合せ」内容は多岐にわたるが、まずは重要なところから解説していきたく思う。

法令順守がガチ

化学メーカーが作っている製品は、一般消費者が触るようなものはほとんど無い。
身の回りでは、そうだな…ヤバそうな臭いがする、シンナー(溶剤)とかハイター(塩素)のような、しかしさらに強烈なものとイメージしてもらえたらと思う。素手で触ったら絶対アカンやつ。そういう人体に影響がある化学物質だから、取り扱いをしっかりしないと危険だし、そのために法令も定められている。
例えば火花が散っただけで引火して爆発してしまうものとかは保管方法や使用方法に厳格なルールがある。危険物取り扱いの研修を受けた資格者や、適切な防護装備がなされた保管場所を用意しなければ扱えないものも数多く存在する。そういう物質を扱うに際して、法令を厳しく遵守して、最終製品を各種メーカーは作っている。
一般消費者のお手元に届く最終製品は、こういった厳しい管理体制の下、安全を確保した上で製造されている。
この法令をちゃんと守らないと、某国のように大規模な爆発事故が起こったり、作業員が重篤な症状を負ってしまったりする。これは高度成長期の日本でも起きてしまったことだ。
ゆえにこの「法令の遵守」が製造業の現場では最重要視されている。例えば厚生労働省が「この材料は発がん性物質のおそれがあるから、使用禁止ね」と新たな法令を定めたら、当然、準拠しなくてはならないのだ。

毎日のように来る「大丈夫よね?」

このことから「使用している材料が法令に適合しているか?」をメーカー各社(お客様)はとても気にしている。ちなみにこの手の法令は毎年、何かしら大規模なものが制定されて化学業界は大騒ぎになる。昨日までノーマークで使っていた材料が、来年から規制対象になって、含有量を調査する、とかはザラである。知りませんでした、は通らない。

ゆえにこのような新たな法令が発布されたときには、数多くのお客様から「新しい規制物質、入ってないよね!?」という問い合わせがたくさんくる。日々、いろんな業界から来る。

この規制物質は業界によって異なる。最も神経質なのは人体に接触する医療関係や食品関連だ。建築業も内装に使うような材料も慎重だ。逆に土木や道路に使うような製品はやや大雑把かな、という印象がする。
かと思いきや道路工事でたくさん使っている材料に危険性が発見されて、即・毒劇物扱いになったこともあった。いつ何が規制されるかは、わからないのである。
その対応をするのが営業マンだ。「店番」として存分に働く。

営業マンがやること:メール対応

とはいえ、そのような専門的な化学物質については営業マンはわからない。なので、営業マンとしては顧客からのメールを品質保証部に転送して「証明書つくって~」と依頼するだけだ。そうして出来上がった証明書を見て
「これには規制物質が全然入ってないから大丈夫ですよ」とか
「これ、0.1%入ってたわ。入ってないタイプはこっちですよ」
とかそういう対応をする。メールに証明書を添付して送る。
このような対応は、一般事務の女の子には出来ない。多少の知識の積み重ねを必要とするからだ。業界ごとの特性やトレンドを知っている営業マンが対応するのがやはり適切であろう。
そんな店番業務は慣れれば1件15~30分でこなせる。これをつつがなく遂行することが、営業マンに求められるミッションなのだ。