化学メーカー営業実務録:反響対応

※当サイトではアフィリエイト広告を利用して商品を紹介しています
実務録
化学メーカー営業の実務について解説していくシリーズ。
今回は反響対応編。

問合せの経路

化学メーカーは様々な方法で情報を開示しており、それを見た顧客から問い合わせが来る。
下記の経路からが多い。
  • 自社ホームページ
  • 展示会
  • 業界新聞・業界誌
  • ヒトの紹介
問い合わせの内容は多岐に渡る。
新作の商品を試してみたいからサンプル下さい」
「今使っている材料が廃番になるから代わりを探している」
「お客様から材料指定を受けたので、資料をください」
などなど、様々な要望のお客様から電話やメールが入ってくる。

対応する窓口:「店番」

そのような多種多様な問い合わせに対応するのが化学メーカーの営業マンの役割だ。
メイン業務「店番」である。
まさに服飾店の店員のように、
「これの色違いありますか?」
これのSサイズありますか?」
という顧客からの要望に対応することがメイン業務となる。
このとき、顧客の求めるものを正しく把握し、自社の製品で解決できるのか否かを答える必要がある。
…とはいっても、その場で即座に答える必要はない。
一旦、顧客の要望をメモして、それを自社の技術部に相談すれば良い。そうして、技術部からの回答を、そのまま問い合わせ客に伝えればよいのだ。つまり伝書鳩をすればいい。まずはメッセンジャーから始まる。
問い合わせ客の要望に対し、力になれそうならなるし、ダメそうなら無理しない。
化学品は、気合でどうにかなるものではないからだ。

ケーススタディを積み重ねる

この「店番」対応は、1~2年やっていると、ケーススタディが増えてくる。
「あっ、これ、以前にも似た案件があったぞ」というものが増えてくる。最初のほうは、それでも一応、技術部に確認するが、やはり同じ内容だったりする。そうして知見が自分の中に積み重なってくると、技術部に聞かずとも、基本的な内容であれば自分で処理することができるようになってくる。
「こういう要望はウチの製品では明らかにムリ」
「こういう条件下なら、出来るかもしれない。サンプルで試すか?
「これは得意分野。サンプルをどんどん提案する」
といったように、ある程度ジャッジが出来るようになってくる。
もちろん、天狗になってはいけないし、テキトーな対応をしてはいけないので、少しでも不安なら確認する必要があるが、場数を踏めば徐々にその精度は高まっていく。
実際に対応して、それで失敗や成功すれば、ますます確度の高い知見となっていく。

高性能の伝書鳩

そうして、自分自身にケーススタディが蓄積していくと、ただの伝書鳩ではなく、高性能の伝書鳩になっていく。「高性能になる」とは「どういうポイントをヒアリングすれば効果的か」ということだ。案件の急所を押さえることとも言える。
  • 性能なら、それならばどういうところで困っているのか?
  • コストなら、具体的にどういう仕様でいくらが目標なのか?
  • 安全性ならば、求めるレベルはどれくらいか?
それをパシパシとテンポよくやりとり出来れば、問い合わせ客からも、社内からも「話が早い」と喜ばれる営業マンになれる。とても良いことだ。

イマイチな店番たち

しかし、このケーススタディの積み重ねができない店番営業マンが、結構いる。
「それ前もやってたじゃん。また同じこと聞いてるよ...」という感じだ。
こういう営業マンは社内外から「めんどくさいヤツ」という認識をされている。
僕なりに、なぜこうなってしまうのか考えた。
…やはり「覚えよう」という”気があるかないか”、だけの気がする。
だいたいこういう営業マンは「俺は営業だからいいんだ。難しいことは技術に聞けばいいんだ」と開き直って、伝書鳩に徹するだけになってしまっている。自分の中にケーススタディが積み重なっていない。
このケーススタディが自分を守る鎧の一つ一つのパーツになるのに、勿体ないなぁと思う。
これが参入障壁になって、自分の立場を守れるのに。
これを読む皆様には、ぜひともケーススタディを積み重ねていてもらって、後輩からの追撃をかわす鎧としてほしく思う。