3年目となれば仕事にも慣れてきて、 新人の頃の不安や心配は少なくなってきているかと思う。 しかしその一方で、日々の仕事がルーティン化しすぎて、 もう伸びしろがないのではないかと感じる事もあるかと思う。 そのメカニズムについて説明する。
営業としての熟練とは
まず、何をもって熟練を指すかを考えるのだが、 逆に熟練していない状態を考える。熟練していない状態、 つまり入社1年目は下記のような特徴があるかと思う。
- 自社製品でわからない部分が多い
- 自社内の体制がよくわからない
- 誰に聞けばいいかわからない
- お客さんと長く話せない
- プレゼンが一人でできない
このように「一人ではできない事が多い」状態だ。 先輩や上司に指示を仰いだり、 同行してもらわないと仕事にならない。もしくは一人で進めると、お客さんに迷惑をかけてしまうことが心配される状態が、 熟練していない状態であると考えられる。 しかしこれは仕方のないことだ。
仮に、 中途入社であったとしても業界やお客さんが変われば常識は異なる し、 社内制度など独自のものばかりなのだから、適応するにはそれなり の時間が必要だ。これらに適応し、 基本的なことは人に聞かずとも回せるようになるのが営業職として の熟練と言える。もちろん、 取引条件や見積などお金に関わる事や、クレームや苦情、 ちょっとアブないんじゃないか? という心配な案件に関しては上長に相談すべきだが、 イレギュラーではない通常業務であれば一通り経験し、 適切に対処できる状態が熟練した状態と言える。
丸2年ガチる
本サイトでも1~2年目は守破離における「守」 の段階であり基礎固めが大切と述べた。 その中には、基本業務の習熟と社内政治が2本柱だ。まずはこれらをおとなしく、2年間しっかりやろう。 この2年間は正直、退屈なものになるのは間違いない。 なぜなら自分の色を出せないからだ。 新規開拓も思うようにできないし、 独自の営業手法などもこの段階では控えるべきだ。下手な動きをすると、危険因子として上司や先輩にマークされてしまう。こうなると、ただただツライ。
だが、その下積み期間も2年間だとわかっていたら、 ゴールが見えている状態なら、耐えようもある。 無限に続くのならば僕も推奨などしない。だからまずは2年間、下積みとしてガチってほしい。
積み上げが効く業界を選ぶ
どんな業界の営業でも、2年間ガチれば一定の習熟は得られる。 しかし注意しなくてはならないのは、積み上げが効くかどうかだ。 僕が推奨するのは積み上げが効く業界の営業職だ。 もちろん本サイトで推奨している化学業界は積み上げが効く。 狙うべき業界の特徴はこの2点だ。
- 古くから続いて成熟している
- 技術革新が遅い
この特徴を持つ業界は、知識経験、 ケーススタディが多ければ多いほど営業マンが「強く」なる。 具体的には建築や化学が該当する。工法や化学製品は何十年、 何百年も同じものを使っている。つまり、 一度身に付けたら長い間その技術が使える。これは時間的コスパが良い。
逆に、技術が日々進化しているようなIT業界などは技術が陳腐化しやす くなる。 流行の変化や技術革新によりまた1からスタートとなると、 積み上げが効きにくいといわざるを得ない。 これでは営業マンの負担が増えてしまう。
同じ知識を長年使い続けられることが、 営業マンにとってはありがたい。 そういう種類の営業だと自分が体験したケーススタディが血肉とな り営業トークに厚みが増す。信頼されるようになる。 この積み上げが効くか効かないかは個人の努力ではなく業界と商品 によるという事を憶えておこう。
資産という概念
このように知識経験・ケーススタディを身に付けていくのは、 自分に資産が蓄積しているのと同じだ。 似たような案件の問い合わせやトラブルに遭遇する事もあるだろう が、一度経験済みであれば、簡単に対処ができる。 この状態が熟練と言える。
このように積み上げが効く営業だと、 年次が進むにしたがって営業マンの負担は減ってラクになっていく 。知識経験の増加により、死角が少なくなってくる。 それを一通り経験するためにも、 入社してからまず最初の2年間を投資しよう。
熟練の先に大きな仕事がある
こうして熟練した営業マンになれたら、 本格的に新規開拓営業に乗り出す準備が整う。 知識経験という防具を装備し、 ケーススタディという武器を手に入れたら、いよいよ新規へ出撃だ。
知識経験があるから、新規のお客さんからの素朴な質問や、 素人的な質問にもわかりやすく答えることができるし、 ケーススタディがたくさんあるから、 予測される問題を先回りしてお話することができる。 そういう部分を見て、 新規のお客さんは営業マンを信用できるかどうかジャッジする。
転職は慎重に
僕はブラック企業からの転職は推奨する。心身ともに疲弊し、 適正な報酬が支払われないような労働環境だったなら、 いくら積み上げが効く業界でも長居すべきではない。 その場合は同業他社という転職もあるが、 業界全体がブラック気質で賃金不足な環境もあるので注意が必要だ 。僕はかつて建築業界にいて、確かに積み上げはあったのだが、 建築業界というのは賃金不足とブラック的労務環境が是正できない レベルにあったので(当時は)、業界チェンジをした。
本サイトで推奨している化学業界は、 積み上げが効く上に賃金は潤沢にあり、 労務環境も健全で、破壊がされていない。他にも、 転売系ではなく保有系の不動産会社や特許が多い会社なども同じよ うな状況にあると考えられる。 しかしそれらは入るのがまず難しいので、 文系MARCHという切り口で考えれば、 難易度も考慮すると化学業界が最良の選択になると僕は考え、 推奨している。
続き:熟練が効く業界
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