営業職の醍醐味の一つ、直行直帰についての作法を説明する。もちろん職場により、ルールが異なると思うので、厳しい職場・上司のシチュエーションと、ヌルいシチュエーションを考察した。僕はどちらも経験があるので、それをふまえて直行直帰の流儀について語る。
厳しい場合
厳しい場合は、以下の状況を指す。
- 直行or直帰は上司の許可がいる
- 週に1回くらいが限度
- 直行か直帰、どちらかのみ
僕が新卒で入った会社はこんな感じだった。建築業関係だったので、現場のスタートが朝早いことも多く、直行が必要な場面も多かったが、上長に事情を説明して許可を得なくてはいけなかった。それをせずに直行した場合には無断欠勤扱いにするというルールを社長が決めてしまったので仕方がない。ちなみに欠勤カウントになるとその分の日当が給与から差し引かれる。有給を充てることは許されないという、労基法ガン無視な会社であった。
当時のことを考えると、直行直帰を利用したサボりは、ほとんどできなかったと記憶している。朝7時に出社し、8時に会社を出発して、即サボるということしかやれていなかった。
直帰もできなかった。19時から夜ミーティングという営業の成果激詰め大会があったためだ。欠席は現場での立会いが必須とかトラブル対応とかでないと許されなかった。
そう考えると、厳しい会社、というかブラックな会社は直行直帰の流儀を語るまでもなく「できない」という一言で終了してしまう。やはりメタ的な観点から、直行直帰が許される業界と会社を選ぶことが第一歩となる。
ヌルい場合
さてヌルい場合とは下記の状態だ。
- 週2回くらい直行or直帰しても目立たない(皆やってる)
- 上記に追加して直行・直帰も1日なら可
- 上長の許可は不要
まあ僕の現職のことなのだが、基本放置プレイの会社である。これを全力で悪用することもできる。非常に社員のモラルを信じている会社である。てか儲かっている会社である。
僕はかつてこのモラルの上に成り立つ制度を悪用した。その結果、マークされる羽目になりちょっとやりにくくなったことがある。ゆえに、マークされないような心得を伝えたい。
月曜の朝、金曜の夕方
月曜日の朝はキツイ。キツイからこそ直行したい。その気持ちは人類共通の思いだ。だからこそ出社しなくてはならない。金曜日の夕方も直帰したい。直帰できたら、土日の2連休が2.5連休の気分になれる。だからこそ、直帰してはいけない。みんな、思うことは一緒である。
そこで本能にしたがってしまい、しかも毎週やってしまうと「アイツは金曜日は帰ってこない。早めのお休みに入ったな」と言われてしまいマークされる羽目になる。マーク、というのはマジメな感じがするが、要するに嫉妬なのである。雇われ人たちが足を引っ張りあっている。直帰する勇気がない半端なマジメ君が、嫉妬して足を引っ張る。だが、そんなマジメ君の嫉妬も、社内規定では正論であり、咎める者はいない。月曜の朝も同様である。
こういう輩を刺激しないためにも、月曜の朝の直行と、金曜の夕方の直帰は1ヶ月に1回程度に抑えよう。できればない方が良い。しかしたまにリアルでお客さんとの飲み会や、月曜朝のアポが入ってしまうこともあるので、そういう時のために「取っておく」。
ただし、管理職などエライ人は堂々と金曜は直帰している。ヒラ社員はこれに惑わされてはいけない。彼らは怒られない立場にあるから、大丈夫なのである。
直帰と直行は連続させない
例えば月曜日の夕方に直帰して、火曜日の朝を直行とする。直帰と直行の連続だ。こうなるとオフィスにいない時間が長くなる。こういう事態を快く思わない者たちがいる。いわく「その長い不在時間に、不測の事態が起きたらどうするんだ」という考え方のようだ。
携帯電話がなく、メールもない時代だったなら、確かにその通りだったであろう。オフィスに戻らなければ、顧客からクレームがあっても察知できない。急な注文に対応できない。だが今は電話もメールも、外でできる。顧客も会社にいないとなれば携帯に電話してくるし、会社の事務の女の子がクレームをすぐに携帯に知らせてくれる。ゆえにこのような心配は現代においては不要なのだが、昔からやっている人たちには、かつての習慣が根付いている。これはもう、変えることはできない。それが彼らの常識だからだ。
分散させない
直行や直帰を組む場合というのは、大半が遠方の訪問先になるかと思う。例えば、宇都宮に朝9時に行かなくてはいけないとか、静岡で最終アポが16時終わりである、というような場合だ(オフィスが東京として)。
僕は若い頃、ちょっとした小細工をしてマークされる羽目になったので紹介する。僕には宇都宮市のお客さんと、ちょっと南の佐野市にお客さんがいた。僕はこれを分散させ、月曜の夕方に宇都宮、水曜の夕方に佐野のアポを入れて、それぞれ直帰した。どちらも適法ではあるのだが、効率厨も社内に履いて、「同じ日にまとめたら直帰は一回で済むはずだ」というツッコミが入った。いわく、交通費がもったいないという指摘であったのだが、間違いなく嫉妬である。交通費など会社が払うのであり、この人物には被害が何もないのにこういうことを言う。もちろん、それも正論だから反論のしようがない。アポイントを調整して、午前に佐野、午後に宇都宮とすれば実現可能だ。
これは僕の「顧客訪問を分散させれば直帰の回数が増やせるのでは」というセコい考えが全ての発端ではあるのだが、適法っちゃ適法であるのに文句を言う人がいるのだ。こういう嫉妬して監視してくる人もいるということを知ることがまず大事だ。特に、儲かっていてヒマな会社にはこういう人が一定数、湧く。ヒマだからだ。
警戒レベルに応じて対応
前項までで直行直帰で押さえるべき注意点を説明した。これが基本だ。しかしながら、この基本を守っていてもツッコミが入ってしまう時がある。それが警戒レベルという考え方だ。警戒レベルは会社が苦しい時に上がる。
- 数字が悪い
- 利益が少ない
- 新規開拓が少ない
- 大型顧客を失った
これらの事件が起きていると、上長は営業マンたちの行動をチェックし始める。何が原因で上記のようなピンチを招いたのかを調べるためだ。例えば、大型顧客を失ってしまったなら、その担当営業が1ヶ月、どんな動きをしていたのか精査が入る。これが怖い。そして、前項までで注意すべきと説明したポイント(金曜の直帰など)が多いと、そこがツッコミポイントになってしまう。スキができてしまうのだ。
しくじり先輩
最後に、ゆるふわ企業の営業マンでもしくじった例をご紹介しよう。
新規開拓が少ない営業マンは、既存顧客ばかり回っていないかとかもチェックされる。その時、既存顧客→直帰ばかり組んでいるとマークが厳しくなるのは当たり前と言える。ユルい会社に勤務していてもユートピア気分100%でいると、情勢が急に厳しくなった時、足元をすくわれてしまう。常日頃からの注意が必要だ。実際に、このコンボが決まってしまい内勤に異動になった先輩がいた。実際、新規開拓は全然できていなかったし、社内営業も下手な人だったので、妥当と言えるのだが…
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