事業や小商いで売上が上がり、利益も得られた。 サラリーマンの給与とは独立した収入、 しかもバイトではなく自分の商品によって収益が得られた。 この状態を作れたら、 いよいよ雇われ人卒業が現実味を帯び始める。
しかし同じように勤め人卒業を目指したものの、途中で 失敗した先達もいる。僕は雇われ人卒業を願い始めた頃から、没落する人も見てきた。その中で、どんなことで落とし穴に落ちてしまうのかを考察した。
貧すれば鈍する
貧すれば鈍する、とはどんなに頭がキレる人でも、貧乏になって食うや食わずの状態になったら頭のキレはなくなってしまう、という意味だ。
ひとたび会社を辞めてしまっては、生活費の不安から、 お金を稼ぐことに一生懸命にならざるを得ない。特にネット芸人の場合は、 信用を切り売りしてしまうこともある。 つまり粗悪な商品を売ってしまう。 お客さんはこれまでの信用から、それを買ってくれるが、その時「 クオリティ落ちたな」と感じて失望してしまう。 信用を失ってしまう。こうなったら、もう買ってはくれない。 ますます収益は落ちる。さらに焦ることになる。
信用を切り売りして、最後には没落したネット芸人を、 僕は何人も見てきた。
貧すれば鈍する、その言葉通りになってしまった。直接的な収益の手段でなくとも、広告や告知など、一部の要素でもネット芸人の道を少なからず歩くなら、この「信用」を重視しよう。人々は、無責任な匿名のネット世界に辟易としている。匿名のアフィ記事アフィサイトにウンザリしている。実名とはいかずとも、アカウントに信用を乗せて、誠実に活動していくことが今後はますます大切になっていくだろう。
流行による錯覚
彼らは皆、スポット的な案件で爆発的に稼いだために錯覚して、 独立してしまった。 その収入の柱を景気変動や流行の廃れなどで失ってしまった結果、 おかしい方向へ堕ちていってしまった。
この原因は、 流行によるスポット的な収入に一本足打法で乗ってしまったところ だ。確かにネットでのビジネスは、仕入れコストが低いので、 利益が出やすい。アフィリエイトなどは代表例だし、 ダウンロードコンテンツ販売も典型的だろう。何しろ、 売上がほとんど利益になるからだ。
これに錯覚してしまってはいけない。こうして得た大きなお金を、 不動産などのカタい資産に変換しキャッシュフローを確保していく 動きが必要だ。
いつまでもネット一本足では、非常に危ない。
芸術は余剰から生まれる
僕は商品作りとは、一種の芸術だと捉えている。
こだわりにこだわり抜いた、自己満足の極み。 そういうものこそが、かけがえのない価値を持つ。 これはまさに「芸術」そのものだろう。
そしてこの芸術は、 食うや食わずの貧乏状態からは決して生まれない。 日銭を稼ぐために必死こいている限りは、 自己満足の商品など創れはしない。大きな時間の余剰と、 ある程度のお金の余裕が必要だ。
その余剰を、僕は「儲かっている化学メーカー」に見出した。 このガラパゴス化した業界と企業には、余剰のお金と、 伴って時間がある。このリソースを、 ありがたく使わせてもらおう。まさに肥沃な大地なのだ。
補助輪つき自転車
自分の事業や小商いをしていく中で、
しかし、これに補助輪が付いていれば、徒に焦ることもなくなる。
僕の推奨する「儲かっている化学メーカー」であれば、 少ない時間の供出で済む。体力の消費も少ない。 腰を据えてじっくりと自業に取り組むことができる。
まずは補助輪つき自転車で走ろう。
もし卒業できなかったとしても
先達が失敗した例を見るにつけ僕はあらためて思う。
雇われ人の給与という補助輪がついた自転車でもいいじゃないか、 と。自分の事業が大赤字でも、 サラリーマン給料という補助輪があれば、即死はない。ゆるふわホワイトなら芸術にも取り組める。 補助輪がないから、余裕がなくなり、 無理をしなくてはならなくなる。
自業が軌道に乗り、いよいよ時間が足りなくなってきたときに、 雇われ人卒業を検討すればいい。儲かっている化学メーカーなら、 その選択肢は十分に可能だ。もしも… 残念ながら卒業には至れなかったとしても、給料 プラスアルファのお小遣いがあるだけで、 かなり豊かな人生を過ごせる。
定年退職後にも「やることがない」とはならないだろう。 自業を作ることは、定年退職後の人生の為にも有効なのだ。
死後に認められた芸術家はいくらでもいる。そう思えば、自分の好きなこと、マニアックなことに特化して、その同志たちに向けて商品を作っていけばよい。
最後に、英雄王ギルガメッシュ先生の名言を紹介しよう。
無意味さの忘却、苦にならぬ徒労ーーーすなわち紛れもなく遊興だ。求めるところを為すがいい。それこそが娯楽の本道だ。そして娯楽は愉悦を導き、愉悦は幸福のありかを指し示す。
この自分の無意識の関心に素直になり没頭することで、常人にはできぬ商品を作り出せると思う。その過程には愉悦と幸福が詰まっているはずだ。
人生、そういう時間で満たしたい。