化学業界の階層

※当サイトではアフィリエイト広告を利用して商品を紹介しています
知識習得

僕は化学業界を推している。ただ、一言に「化学」といっても、その中身はかなり広い。そのような質問もこれまで何度か頂いたので、解説をしていく。

日本化学工業協会

まず、日本の化学業界の現状を知ろう。一般社団法人日本化学工業協会という機関があり、そこが発行している刊行物に『グラフで見る日本の化学工業2019』という冊子がある。

まずは、この冊子を読んでみて欲しい。↑リンクで飛べる。

この冊子を見れば、いかに化学業界がすごいのか、わかってもらえること間違いないと思う。

控えめに言っても、化学業界強すぎワロタ状態になる。

化学・プラスチック・ゴム

日本の産業は様々なカテゴリー分けをされて、様々な統計が作られている。食品、宿泊、輸送用機器(自動車)、金融、サービス、エンターテイメント、などなど。

そのなかにもちろん「化学」はあるのだが、その他にも「プラスチック」「ゴム」という分類もなされている。なぜこのように分けてしまうのかは謎だが、プラスチックもゴムも、その製造方法と原料は原油の精製と密接な関係があり、実質的に「化学」であると言える。

そのため、先述の日本化学工業協会も、これら3つを総称して「広義の化学業界」として統計をとっている。

化学業界の階層

本題に入る。これら化学業界には「階層」が存在する。

この階層を川に例える。

まず山の奥の方に水が湧き出るところがある。「源流」だ。

そこから流れていって山の中を流れる「上流」になる。

さらに流れて「中流」となって、街の中を流れる「下流」になり、海へ注ぐ。

これをもっと具体的にする。

「源流」は原油を掘るところ。つまりペルシャ湾の石油王だ。そこから原油を買い付けて、船で日本に運んでくる企業がある。この辺までが源流。日本の企業でいうと、なんちゃら石油とか、まぁガソリンスタンドの名前のところだ。

次に、この原油を精製する企業がある。巨大なプラント(工場)を持っていて、原油を精製して、各種の純粋な物質にしていく企業だ。いわゆる「太平洋ベルト」地帯にある巨大な工場で、このような精製をしている。

ここが「上流」で、居並ぶ企業は旧財閥系の「○○化学」だらけである。

この「上流」が精製した純粋な物質を複数種、組み合わせて応用的な物質を作る企業が出てくる。化合したり、重合反応したりする。いわゆる化学反応を用いて、もともとの純粋な物質を、もっと特性のある何かに変質させる企業だ。ここが「中流」で、かなりの多様性が出てくる。

さてそうして中流工程で作られた化学物質を複数集めて、混ぜたり、塗ったり、合体させたりする企業が出てくる。ここが「下流」になる。中流との違いは、化学反応をメインとしていないところだ。

この「下流」の企業は、あくまでも「アセンブリ」をする。

アセンブリとは先述のように、混ぜたり、組み合わせたり、塗ったりとか、そういう工程のことだ。化学反応をメインとはしないし、できない。ここもかなりの数があり、この工程になると最終製品の形になっている。

そして最後に「河口」にたどり着く。川が海に繋がる部分だ。海とは市場、一般消費者である。この「河口」に属す企業は、いわゆる小売店や、施工業者を指す。一般消費者をお客様とし、一般消費者からお金を受け取っている企業だ。

文系MARCHは「中流」狙い

「源流」および「上流」の企業はとても儲かっている。寡占化が非常に進んでおり、新規参入もない。源流は、OPECの意向次第で原油安になると困ることもある。が、基本は儲かる仕組みになっている。

上流も同じく、寡占化が進んでいるから、値崩れがしにくい。この上流クラスは旧財閥系の大企業が名を連ねている。この上流が作る精製品は、中流メーカーの原料になる。

ここまでの「源流」「上流」は一部上場の巨大企業である。当然儲かっているし、その安定性も間違いないレベルだ。入れたら、もちろん最高だ。だが、まず新卒でしか入れないし、その新卒採用だって国公立と早慶まででほとんどが占められる。就職偏差値の通りなのだ。

かといって「下流」や「河口」の企業だと、営業マンとしてはしんどくなる。これらのグループに属する企業自体がダメなのではない。黒字の会社も多い。だが、そこで働く営業マンの働き方としては「売り子」になりやすい。ゆえに勤務内容がブラック化しやすい。一般消費者に近づけば近づくほど、競争は激化するし、営業マンを叩くだけ売れるような性質の商品になりがちだ。

営業マンの働き方がブラックかどうか。そこだけに集中してほしく思う。

いくら会社が黒字でも、営業マンをするあなたがツラかったら、意味はない。そのため「下流」「河口」の企業はよく求人を出しているが、気をつけよう。

ここまでで、「上流」は入りたくても入れない、「下流」はツラいからやめといたほうがいい、ということを述べた。すると、文系MARCHには自ずと「中流」だけが残る。それでいい。

「中流」のメーカーは、化学反応を行うところが多い。その部分に秘密のレシピがある。こうして「特殊な品」を作れるから、その先の「下流」メーカーに対して優位でいられる。

中流メーカーの作った「特注品」を使わなければ、下流メーカーで最終製品が作れないことが多い。その「特注品」でなければ性能が出なかったりする。ゆえに非常に依存性が高く、定期的に売れる。似たような同業他社の似ている品物でも、その若干の違いが、最終物に響いてくる。

最終物は非常に精密なバランスで成り立っていることが多いから、わずかな歪みは即、性能に繋がる。クレームに繋がる。

下流メーカーは簡単に原料を変えられない。だから僕の推奨する「化学メーカー」は強いのである。

これが化学メーカー営業マンがラクな理由だ。

ちなみに僕の勤務先も「中流」に属する。

鶏口牛後になれるのは「中流」

文系MARCHというのは、社会全体を見れば上位15%までに入る偏差値ではあるものの、上場企業や大企業というステージで見ると、下のランクになる。それは仕方ない。

逆に、中小企業においては上位グループになる可能性がある。もちろん早慶とかもポツポツいるので最上位にはなかなかならないものも、それでも学歴だけなら上から数えた方が早くなるだろう。

誤解してほしくないのは、お勉強ができればいいわけではない。ただ、脳のスペックと、粘り強さ等の気質を考慮すれば、文系MARCHという層は周囲と比較すると相対的に高水準と考えられる。勘違いしてはいけないのは、絶対的にすごいのではなく、相対的に優れているという点だ。

自分が60点でも、周りが40点だらけなら「お前スゲーな!」となるというだけのことで、80点の人には劣る、ということは忘れてはいけない。

そのため「鶏口となるも牛後となるなかれ」の言葉通りになる。

化学業界の仕事は粘り強くケーススタディを学習すれば、いっぱしの営業マンになれるので、粘り強い文系MARCHには相性が良い。独創性も、瞬発力もいらないからだ。