「コスパ良い企業の探し方」という記事には多くの質問をコメント欄より頂いております。
気がつけば膨大な量の質疑応答になっておりましたので、ここらでひとつ、編纂し直してみようと思い立ちました。
読者の皆様の率直な疑問の宝庫と思いますので、個別記事にして紹介していこうと思います。
下記のコメントを頂きました。
素晴らしい記事をありがとうございます。
ブログを読み、4点疑問に感じました。①儲かっている会社とは、具体的に営業利益額何円くらいの会社を指すのでしょうか?
②樹脂以外を取り扱う会社(無機化学、フィルム、ゴム、コンパウンド、塗装、工業用薬品、高純度〇〇、電気材料、半導体用〇〇)は、あまり好ましくないでしょうか。
③子会社についてはどう思われますでしょうか。
④このような会社は、四季報で探すのは困難でしょうか。(エージェントだけでなくきちんと情報を確認したいため。)お時間のある時で構いません。
ヤコバシ様のご意見をお聞かせ願えれば幸いです。
Q1.「儲かっている会社」とは?
これは金額の大きさではなくて「率」が大切です。
特に「営業利益率」です。
四季報などには「経常利益」「純利益」「税引後利益」などのデータがありますが、まずは本業が儲かっているかどうかを示す「営業利益」をチェックしてください。
一般的に世の中のメーカー(化学以外も)の平均は5%との統計があります。
もちろん下回っている会社もたくさんあり、存続はしていますが、まずは「5%以上」が目安になります。
ここが10%前後になってくると優良な会社と言えるでしょう。
Q2.樹脂以外の素材メーカーはどうでしょうか?
私が思うに「単純」「純粋」なものほどコモディティ品になりやすいです。
純粋なゴムや溶剤は安価ですが、それを複数種、合成したり特殊配合すると高付加価値の製品となり、①の利益率につながっていきます。
純粋な物質は、差別化がしにくいので競争過多になりがちです。
例えばトルエンという溶剤は単一の溶剤であり、供給メーカーも世界中にあるため、値段の叩き合いになります。
ガソリンスタンドが1円単位で争っているのと似ています。
※高純度化が難しい、不純物を極力取り除いた系のものは別。
また、末端ユーザーである一般消費者に近づくほど値下げ圧力が強まります。
そのため「顧客が誰か?」も重要です。
そういう意味では「塗料」は一般消費者に近付いてしまい厳しいのです。
最終的な「モノ」の形に近づくほどそうなります。
「塗料」は缶から出して塗れば最終物(塗膜)になってしまうということです。
しかし例外はいくらでもあります。
塗料でも特殊用途のため高価なものもたくさんあります。
やはり①の利益率に着目すべきでしょう。
他社が作れないものだから、利益が取れるのです。
いくら特殊な技術を持っていても、儲かっていなければ意味はありません。
Q3.子会社はどうでしょうか?
子会社でも問題ないと思います。
大手企業の1セクションの部隊が独立分社化したパターンは結構あります。
化学業界はその特性から、大きな工場が必要ですので、大手資本がないとスタートできないのです。
そのためベンチャー企業があまり登場しない業界でもあります。
ただし親会社の意向でノルマは厳しくなるリスクはあります。
結局、ご主人様が誰か?がポイントです。
ご主人様が厳しくすればいくらでも厳しくなります。
とはいえ大手企業の看板で仕事ができるので、大手のグループ会社に入れたら安定度は高まります。
Q4.これらの情報はどうやって探せば良い?
もちろん上場企業であれば通常の四季報で見たり、ホームページにも決算報告があります。
「未上場四季報」という書籍もあります。
ある程度の規模があり、優良な企業が多く載っています。
とはいえ高い物でもあるので、まずは書店で覗いてみてはいかがでしょうか。