2年目、独り立ちをする

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入社して1年目は基礎を固め、守りの型を習得した。誰が何を知っているかを把握し、実用途や最終製品を見た。それらは盾であると同時に剣にもなる。外の世界に打って出る準備は整った。外の世界でさらなるレベルアップを図る。

補助輪付き自転車

この時点では、まだ一人で対応しきれるレベルではないものの、お客さんからの質問の意味や、誰に聞いたら答えが得られるか、くらいをわかっている状態だ。いわば補助輪付き自転車で走り始めたような状態だ。補助輪がついていると思えば、怖がらずに漕ぎ出せる。この場合の補助輪とは、自分が新人で若いというところである。あなたの若々しい外見と、新しく入りました、という自己紹介はお客様のガードを下げる。要求も緩くなるし、少々やらかしても大目に見てもらえる時期、ボーナスタイムなのだ。

このボーナスタイムを活用しない手はない。そしてこのボーナスタイムは時間とともに消滅するものでもある。このミスを大目に見てもらえるタイミングは、さらに学び、パワーアップする時期なのだと知っておこう。

客の業界について学ぶ

補助輪付きで外界に飛び出したなら、まずはお客さんの業界について、聞いて回ろう。

  • どんな製品を作っているのか
  • どんなお客さんに売っているのか
  • 商売は順調か
  • 今後の見通し

などなど、自社にいるだけではわからない情報を聞いてみよう。先述の通り、新人で若いという特徴があれば、お客さんも教えてくれるし、面倒見のいいお客さんなら工場のラインを見せてくれたり、製造現場をこっそり見せてくれたりする。この時期の大目に見てもらえるボーナスタイムをフル活用する。

この行為は自分の勉強・知識・体験になるだけではなくお客さんに積極的な姿勢を示すことができる。もちろん、秘密を見せてもらうのだから頼み方も大事だが、勉強のために見せてください!という若者に厳しく当たる人は少ない。現物は見せられなくてもノートに図くらいは書いてくれるはずだ。

そうして、勉強する姿勢を示し、お客さんの業界の現場や、その会社の課題について教えてもらう。これはその会社への貢献の仕方を探るのと同時に、自分が営業マンとして、その会社を見切るかどうかのポイントになる。良くしてもらっているのに申し訳ないのだが、あくまでも自社の利益と自分の成績のことも考えなくてはならない。未来のない業界・顧客に固執する戦略的な価値はない。後述するが、同業種の大手企業を狙うための練習相手になってもらうのだ。

客の興味関心を知る

お客さんは何を思って、自社の製品を買ってくれているのだろうか。素朴な質問として、聞いてみると大きなヒントを得られる。もちろん化学メーカーの場合「昔からその配合だから」という答えも多いのだが、これは裏を返せば他者が入り込みにくいということ。もし性能であるならば、他社製品と比較してどこが優れているのか。もちろんコストもあるだろう。他にも、供給安定性や対応力、品質なども複雑に絡んでくる。

このように自社の力を客観的に知れば、新規営業に赴く際のセールストークにもなる。今買ってくれているお客様たちの声は、一つ一つが強力な武器になるのだ。お客さんにも思惑があり、その思惑=興味関心により自社を選択している。もしくは他社も使っているのだ。その気持ちをインタビューし、知っておけば、パターン化ができるようになる。

化学メーカーの場合、お客さんの中で意思決定権を持つのは技術部(研究部)・購買部・品質保証部あたりだ。このどれかが採用権を持っていたり、切り替えの発議をするのが大方のパターンだ。彼らの興味関心がどこにあるのか。対話しながら確認していく。

  • 購買部はコストと安定供給
  • 技術部は性能
  • 品質保証部は品質

このあたりを気にするし複合することもある。

宿題には全力で応える

お客さんから、宿題が出ることもある。

「XXという規制物質は入っていないか?」

「新たに施行された法律に合致しているか?」

「今使っている他社製品が廃番になるから、類似品を探して欲しい」

というような依頼だ。これらには迅速に応えること。なぜなら大半のライバルメーカーは平気でこういう問い合わせを忘れるからだ。以前にも述べたが、化学業界はゆるい業界だから、どこの会社もしっかりしてない。大手企業でも、しっかりしてない。こういう環境下にあって、依頼に即対応する会社はお客さんから重宝されるのは当たり前だろう。

宿題には全力で応える、という基本が根付いている人には今更、という話だった。

大手は後にとっておく

新規開拓を考えた時、まずはトップシェアの会社もしくは業界で2〜3番手にチャレンジしたくなる。わかる。僕もそうだったからだ。しかし大体はアポイントもとれず、ノーアポで行っても出てきてくれないものだ。

最初、自分のレベルが低く歯が立たなないときにそういうところを攻めないこと。まずは同業界の零細企業から攻めよう。そういうところから練習を初めて、修行する。その中で、その零細企業に商品が売れることもあるかもしれないが、あくまで最終目標はもっと上にいる企業だ。経験があれば、用語やお客さんの関心事もわかるようになる。この時から、業界上位の企業に挑戦する資格が発生するのだ。

この資格がないときに上位の会社に挑むと、速攻で散ってしまう。玉砕だ。一度玉砕してしまったら、相手からは信用を失ってしまう。大した事ないヤツだなと思われてしまい、次回のアポが取れなくなる。だから最初に仕掛けてはいけないのだ。

以上が2年目の立ち振る舞いだ。地盤固めを行い、さらなる飛躍のために備えよう。そしてやはり、焦ってはいけない。焦ると、未来のお客さんを失ってしまうからだ。たまに、こういうことを理解していない上司もいるから気をつけてほしい。

続き:「守」を大切にせよ

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