守破離だと知る

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知識習得

無事、化学メーカーに内定し、前職を退職したら、ひとまずはおめでとうだ。僕もそうだったのだが、ブラックな環境が普通だった人が化学業界に入るとカルチャーショックを受けることになる。まずはマインドを学ぶことにより、勇み足で失敗することがないようにしたい。

ブラック経験者は何かと焦ってしまう。というか焦るように調教されていたから仕方がないのだと、まずは把握しよう。

守破離

守破離とは武道で主に用いられる概念だ。「守」は師匠の教えを守り、その流派の型や技を身に着ける段階だ。「破」は他の流派や師匠からも学び、外部からも技術や考え方を取り入れる段階。そして「離」は元々の流派から離れ、自分独自のスタイルを確立させる段階のことだ。

この順序があると知った上で、あなたは化学業界という流派に新しく入った、初心者であると認識しよう。ただし安心して良い。化学業界はブラックとは違い、あなたに即戦力も求めないし、いきなり成果を求めることはしない。これは業界的な特色だ。じっくりと基礎を学んでいこう。

守=自社知識

まずは自社の製品について勉強する。何に使えるのか、どう便利なのか。他者との違いは何で、お客様に選ばれている理由は何なのか。僕が転職を推奨する、儲かっている化学メーカーというのは狭い分野で1位か2位、もしくは寡占化が進んでいる状態にある。その会社の「ウリ」を把握することがまずは「守」だ。

当たり前のことと思われるかもしれないが、この考え方を持たずして、顧客に向き合うと、できないことを「できる」と答えてしまって結果的に信頼を失うことにもなる。最初の頃は焦ってはいけないと説明したのはこの部分で、ブラック経験者は功を焦ってしまうから気をつけてほしい。

破=他社知識

自社について把握したら、次はライバルとの比較を始める。市場は常にライバルとの競争だ。儲かっている化学メーカーとて、その運命からは逃れられない。ただ、他業界と違って、一気にオセロがひっくり返るようなことも少ない。なぜならお客様も1社に偏って購入していると、そこが供給できなくなった時に仕入れがゼロになってしまうから、分散して調達する。こうして競合他社の研究をすることで、業界内での自社の立ち位置と、顧客から見たメリットが浮かび上がってくる。

全ての面で絶対的に優れている会社は少ない。会社の良し悪しは、比較で成り立つ。他社を分析し、自社と比べることで、自社の形がわかってくる。得意なこと、不得意なこと、その得意・自社の良いところを推していく営業方法が効率的だ。

「守」と「破」の段階で、その会社が得意としているスタイルの営業活動ができるようになる。昔から実績のある方法だ。タイミングが合えば、新規開拓もできるだろう。ただしそれは、従来の方法と同じ系統なので革新的な新規開拓にはならない。皆が予想できる新規開拓の範疇である。

離=フロンティアを切り開く

繰り返すが「守」「破」を徹底すると、ライバル社からシェアを奪うだとか、同系統の新規案件の獲得はできる。普通の営業マン〜やや優秀な営業マンはここに行き着く。だが、それはやはり想定の範囲内の成果であって、それを上回る成果は出せない。これを実現するのが「離」の段階だ。いわゆる大ヒット商品である。

「守」「破」の段階で獲得できる新規や競合のシェアを奪うという営業法は、正直苦しい。競合がいるから、常に値段の競争になるし、品質も厳しい。まあ、普通はそうだ。こうしてジワジワとシェアを広げるのが王道だ。しかし、それでは大きな成果は見込めない。

その答えは

  • 今まで常識ではなかったもの
  • 今までとは違う使われ方をするもの

これらの条件をもつ商品を生み出し、売ることだ。さらにそれに特許や秘密の製法を組み込めば安泰だ。具体例をあげるとしたら、近年のマスキングテープが挙げられる。マスキングテープは元々、塗装工事や車の塗装で使う、塗料がかかって欲しくないところを隠す(マスキング)するテープだった。色は黄色とか単色で、1個100円くらい。基本的に使い捨てで、ホームセンターに売ってるという商品だった。

これを、女子向けにカラフルな色を選び、綺麗な模様を印刷して、かわいいキャラクターの絵を刷った「マステ」シリーズは大ヒットした。これまでマスキングテープを使っていなかった女子という層に新たな市場を作り出したのだ。もしマスキングテープが元来の用途だけでシェアを伸ばそうとしてら、安くするしか方法はほぼない(性能はもう上がりきっている)。ならば新たな市場を作り出すということだ。

アンテナ高く

僕は、これからの営業マンに求められる仕事はこの新しい需要と市場を創造することだと思っている。これは大変クリエイティブな仕事だ。かなりの知識経験が求められる。ただ、そんなに難しいことではなく、自社製品を今まで見たことも聞いたこともない新規のお客様に紹介してみる作業を繰り返していけばいい。半端に知っているお客様では効果が薄い。全く違う材料を使っているお客様に接触するから、化学反応が起きて爆発的ヒットになる。

マスキングテープと女子の出会いにも同じものを感じる。考えてみてほしい。大ヒットした商品や技術って、そういう組み合わせばかりではないだろうか。ガラケーを売っていた会社は、ガラケーのメーカー同士で争っていたが、全く別のところからiPhoneがやってきて市場を独占してしまった。それまでマニア向けのメーカーだったAppleが日本で圧倒的シェアのスタンダードになった。

こういう商品を立ち上げようと思ってアンテナを高く保つことだけを忘れずにいる。そうすれば、いつか必ずヒントは見つかる。そしてそういう商品や市場を作るんだと思い続けていれば、ふとしたきっかけでアイディアも湧いてくる。それはすぐには見つからないから、長い目で探し続けよう。

続き:新しい会社に馴染む

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