基礎固めをする

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知識習得

ブラックから化学メーカー・化学業界に転職した人は、焦ってはいけない。かつての僕もそうだったのだが、化学メーカーは営業マンが必死になって売ってくる仕事ではない。ブラック営業職で毎日毎日、尻を叩かれていた人は強迫観念が強く根付いているから、この点は注意である。
もしくは新卒でヤル気に燃えて化学メーカーに就職した人も、勇み足にならないように注意したい。化学業界というのは自動車の運転と似ていて、急ハンドル・急アクセル・急ブレーキという「急」がつくものを嫌う。つまり焦って売ろうとしたり、焦った結果間違ってしまい方向転換が必要になる事をお客さんも、自社内も、とても嫌うことを覚えておこう。

メイン商品を知る

メイン商品とは売れている商品のことだ。僕が推奨する、儲かっている化学メーカーは当然の事ながら、稼ぎ頭の商材がある。そういう主力製品をまず勉強する。当たり前のことを言っているように見えるが、実はこれが徹底できずに勉強が分散してしまうと遠回りになるから、あえて言及した。

化学メーカーには本当に数多くの商品があり、主流でない商材や、昔はよく売れていたけど今は売れてないという商品もある。そういう主流でない商品についても勉強を始めてしまうと、自分の力が分散してしまう。こういう副流の商品は、2年目以降に勉強しても決して遅くはない。まずは一番売れているものに集中して勉強しよう。
僕は欲張ってサブの商品の勉強も同時並行したために、主力商品のマスターが遅れてしまった。結果として効率が悪くなってしまった。そもそも主力ではない商品というのは会社も積極的に改良しないし、そういう状況になっているということは市場で需要がないということの証明でもある。

自社のカタチを知る

まずは自社のカタチ、つまり強みを知ろう。自社はなぜ生き残れているのか、なぜ顧客から選ばれているのか。儲かっている化学メーカーは市場を独占している場合もあるが、やはり同業他社・競合は存在する。それは同じ程度の規模の企業かもしれないし、大手企業の1部署かもしれない。そんな強豪ひしめく環境において、利益を出せているということは、お客さんから選ばれているということだ。

例えば性能面で、他より優れているとか、性能は同等でも安価であるとか、納期が短くて遅延が少ないとか、様々な理由が複合して採用されているはずだ。それを知ることによって、自社の「カタチ」が見えてくる。そのカタチこそが、あなたがこれから武器とするものだ。

化学メーカーの良いところは、属人的な要素が少ない点だ。スゴ腕の営業マンの手腕によって顧客に選ばれていると、再現性が低い。例えば保険や金融、コモディティ化した商品だとこういう営業マンの力に依存した営業スタイルになる。化学メーカーはその要素の割合が少ない。営業マンの手腕に左右されにくいから、再現性が高い。

自社の「カタチ」を知れば、そのカタチを活かした営業ができるし、売れた後もミスマッチがない。自社のカタチと違う事をやらない事は大切だ。例えば少量・高付加価値が得意な会社なのに、大量生産・安価品の案件を引き込まないようにする、などだ。これは自社のカタチを知っていないと適切な対応ができない。

トランザクション・メモリー

これは、誰が何を知っているかを知ることだ。自分がスペシャリストになる必要はない、というか不可能だが、詳しい人を知っておくことは必要だ。

「この手の質問がきたらこの人に聞こう」という引き出しを増やそう。いずれは営業マンにも多少の知識は必要だが、最初はこのトランザクション・メモリーをしっかり形成する。それは社内でも、社外でも多ければ多いほどよく、助けになってくれる。

自分以外の優秀な頭脳を掛け合わせることによって、さらに良い答えを見つける可能性をあげるのだ。ただし、その過程の中で自分にも知識を蓄積するという意識も持っておこう。そうでないと、知識は増えない。

実用途を見る

化学メーカーの製品はそのままで最終製品になっていることは少ない。ほとんどが、さらに下流の工程を経て最終製品になっていく。そういった最終製品を見ることもとても大切だ。最終製品を手に取ってみたり、使ってみる。施工現場を見にいったり、可能であればお客さんの工場のラインを見せてもらうのも良い。このような体験が血肉になり、あなたの営業トークに重みと信頼感を持たせることができるからだ。その結果として、新規顧客が開拓できる力がつく。机上だけでなく学びに出かけよう。

お客様の製品を手に取ったことがあるのとないのでは、お客様とのコミュニケーションにかなりの差が出る。当たり前のことのように感じるかもしれないが、やっていない営業マンだらけだから、やるだけでかなり目立つ存在になる。

「先日、御社のXXという製品を買って使ってみたんですが…」というトークは最強だ。

老兵に師事する

特に1年目はわからないことだらけだから、どんどん聞こう。ただ気をつけて欲しいのは、聞くべき人と聞くべきでない人を見分けることだ。ネガティブな人、目先のことしか考えていない人に聞くと、自分までネガティブに染まる。

残念ながら、化学業界はぬるい業界なので、こういうジメジメした性質の人も結構多い。そういう人を手本にしてしまっては成果は出せない。成果を出しているかどうかも判定の材料になる。

理想は第一線から退いたじいちゃんだ。こういうじいちゃんは定年を迎え、嘱託で閑職にいることも多い。暇だ。なにかと時間を作って、こういう、かつて第一線で戦っていた技術マンからたくさん学ぶことは効率的だ。

現役の技術マンに聞きにいくのももちろん王道であるが、現役マンはとにかく忙しい。そんな彼らの手を止めさせてしまうのも心苦しい。そのため、老兵にあえて師事して知識を溜め込むのだ。だが一応、これはコッソリやること。現役マンたちからしたら、面白くないことは当然なので、「XXさんから聞いたんですが」とかも禁句だ。これは「お客さんから言われたんですが」という形に直せば良い。

以上、化学メーカー1年目がとるべき勉強の仕方を説明した。もちろん会社ごとに環境や条件は違うのだが、根っこは同じだからうまく活用してほしい。

続き:2年目:独り立ちをする

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